保健医療
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「人々の安心・安全な生活」に向けた協力として、FASIDでは特に保健医療分野の協力に力を入れています。医療現場最前線でのサービス改善の他、そうしたサービス提供を可能にするシステムの強化にも取り組んでいます。
リベリア国「モンセラード州保健サービス改善・監理支援能力強化プロジェクト」(補強参加)
対象国/分野 | リベリア/保健医療 |
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期間 | 2021年10月~実施中 |
発注者 | 独立行政法人 国際協力機構(JICA) |
相手国機関名 | 保健省、モンセラード州保健局(MCHT) |
概要 |
リベリアでは、1989年から14年間に及んだ内戦により保健指標は著しく悪化しました。その後、国家保健政策・計画に基づく基礎医療提供の改善、国際社会の支援や保健サービス基礎パッケージ(注1)の提供により保健指標は徐々に回復してきているものの、妊産婦死亡率や乳児死亡率はいまだ世界最低レベルにあります。さらに、同国では2014年6月から2015年5月にかけてエボラウイルス病の流行が続き、4,800人を超える死者を出すに至りました。これにより、保健医療サービス、特に基盤となるプライマリヘルスケアは大きな打撃を受けました。 そのような状況をふまえ、本プロジェクトでは、MCHTのマネジメント能力向上を目指し、次の4つの成果達成に向けて取り組んでいます:①MCHTの監理機能が適切に発揮される、②ミニプロジェクトを通じて、MCHTと郡保健局のPDCAサイクルに基づく管理能力を強化する、③5S-KAIZEN-TQMの概念を用いて、MCHT、郡保健局及び保健医療施設の組織マネジメントの枠組みが確立される、④行政マネジメントに係る好事例や教訓が情報交換される。 当財団は、2024年4月からこのプロジェクトに「保健システム」および「サポーティブスーパービジョン/研修実施管理」の専門家2名を派遣し、主に成果①、②に取り組んでいます。 (注1)保健サービス基礎パッケージ:村の保健ワーカーから地域の中核病院に至るまで、保健システムの各レベルで提供される予防・ケア・治療の標準的なサービスをリストアップしたもの。それらサービスは、国民が支払い可能な価格で、持続可能なものとなっている。 |
【参考】(外部サイト)
ボリビア国「救急産科ケアリファラルシステム強化プロジェクト」(補強参加)
対象国/分野 | ボリビア/保健医療 |
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期間 | 2022年4月~2023年9月 |
発注者 | 独立行政法人 国際協力機構(JICA) |
相手国機関名 | 保健スポーツ省 保健ネットワーク・サービス総局 |
概要 |
JICAは過去20年余りにわたり、ボリビアにおいて母子地域保健分野への技術協力プロジェクトを実施してきました。その結果、医療機関へのアクセスや妊婦検診受診率及び施設分娩率が改善され、母子保健指標は改善傾向にあります。しかし、妊産婦死亡率は出生10万人あたり155人(2017年、UNICEF)と、SDGsが掲げる出生10万人あたり70人未満という目標と比べても依然として高い数字となっています。その背景には、不適切なリファラル・カウンターリファラル(注1)やその遅延、保健省により妊産婦死亡事例の十分な分析や再発防止策がとられていない等の課題があります。 こうした課題の解決のため、本プロジェクトは、サンタクルス県を対象として保健救急調整センターの機能強化、医療従事者のリファラル・カウンターリファラル能力の向上、及び妊産婦死亡事例に対する保健省の分析能力強化に取り組み、妊産婦・新生児の健康状態の改善を目指しています。 当財団は、このプロジェクトに「母子保健」の専門家を派遣し、妊産婦死亡事例の原因分析やそれを基にした再発防止計画の策定及び実施の支援を行っています。 (注1)リファラル・カウンターリファラル:診療所などの低次医療施設で診療できない重症患者を高次医療施設へ紹介・搬送することをリファラルと称する。一方、高次医療施設での診療後に回復期に入った患者を地域の低次医療施設に紹介することをカウンターリファラル(逆紹介)と呼ぶ。 |
【参考】(外部サイト)
タイ国「グローバルヘルスとユニバーサルヘルスカバレッジのためのパートナーシッププロジェクトフェーズ2」(専門家派遣)
対象国/分野 | タイ/保健医療 |
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期間 | 2021年1月~2023年12月 |
発注者 | 独立行政法人 国際協力機構(JICA) |
相手国機関名 | 保健省、国家医療保障機構 |
概要 |
タイでは、2002年に開始されたユニバーサルカバレッジ制度(以下、UC制度)により、人口のほぼ100%が健康保険・医療保障にてカバーされるようになりました。しかしながら、タイ国内の一人当たりのUC制度の予算が急増していることに加え、3つの医療保障制度間の保証範囲と支払メカニズムの違いや、少子高齢化といった人口動態の変化を踏まえると、ユニバーサルヘルスカバレッジ(注1)の達成に関するさらなる課題が山積しているといえます。保健人材においても、高齢者介護等のニーズが高まる中、質や技術力の地域間格差の改善が喫緊の課題となっています。 このような状況をふまえ、本プロジェクトは、1)タイ国内の保健財政、特に公的保険制度の改善や保健人材の活用に関する支援、2)タイ国内のこれらの取り組みで得られた経験や知見を活かしたタイによる周辺国の課題分析支援や、タイによる周辺国の能力強化に対する取り組みの支援、3)上記のプロセスを通じて周辺国を含む他国とのパートナーシップを強化し、国際保健上の課題解決に対し貢献するための支援、の3点に取り組みました。 当財団は、このプロジェクトに「業務調整/保健人材」の専門家を派遣しました。 (注1)ユニバーサルヘルスカバレッジ:すべての人が、適切な健康増進、予防・治療・機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられること。 |
【参考】(外部サイト)
グアテマラ国「プライマリ・ヘルスケアを通じた母子栄養改善プロジェクト」(JV)
対象国/分野 | グアテマラ/保健医療 |
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期間 | 第1期 2022年1月~2022年12月 第2期 2023年1月~実施中 |
発注者 | 独立行政法人 国際協力機構(JICA) |
相手国機関名 | 保健省、保健サービス統合システム総局、トトニカパン保健管区事務所、 キチェ保健管区事務所 |
概要 |
グアテマラ共和国では子どもの栄養不良の問題が深刻であり、2014/2015年時点での5歳未満児の慢性栄養不良(発育阻害)の割合は46.5%と中南米地域で最も高く、特に貧困率の高いトトニカパン県及びキチェ県で深刻な状況です。一方で同国では、成人・子どもともに過体重、肥満が増加しており、低栄養と過栄養が併存する「栄養不良の二重負荷」も大きな問題となっています。 こうした問題の解決のため、本プロジェクトでは、対象地域において、母子栄養コミュニティ人材(注1)を活用する「母子栄養改善のためのプライマリ・ヘルスケア(以下、PHC)・デリバリー戦略」を策定し、PHCサービスを協働で提供する保健医療従事者と母子栄養コミュニティ人材の能力強化に取り組んでいます。さらに、大統領府食糧栄養安全保障庁のリーダーシップのもと、マルチセクトラルな取り組み(注2)を促進することで、母子栄養の改善を目指しています。 (注1)母子栄養コミュニティ人材:コミュニティにおける母子栄養改善のためのPHCサービスの提供を支援する役割を果たす、コミュニティレベルの既存ボランティア。保健委員会のメンバー、コミュニティ・ファシリテーター、伝統的助産師(コマドローナ)などが含まれる。 (注2)マルチセクトラルな取り組み:栄養不良の背景には、疾病や不十分な食事摂取といった直接的な要因から、産業やインフラの不全といった社会レベルの要因まで、さまざまな分野の課題が複雑に関連している。そのため、分野の垣根を超えた取り組みが求められている。 |
【参考】(外部サイト)
グアテマラ国「妊産婦と子どもの健康・栄養改善プロジェクト」(補強参加)
対象国/分野 | グアテマラ/保健医療 |
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期間 | 2016年6月~2021年9月 |
発注者 | 独立行政法人 国際協力機構(JICA) |
相手国機関名 | グアテマラ国保健省、キチェ保健管区事務所、イシル保健管区事務所 |
概要 |
グアテマラ共和国は、中米諸国の中でも特に母子保健指標の改善が遅れており、妊産婦死亡率や乳幼児死亡率などは周辺国と比較して高く、また、5歳未満児の約半数が慢性栄養不良の状態にあります。さらに妊婦の慢性栄養不良も深刻な問題であり、ハイリスク出産の要因となっています。そのため、栄養不良を発症させない予防策と、発症した際に適切に処置・治療する対策を同時に施すことが肝要であり、かつ、それらの予防策と対応策を管理する保健省や地方行政の人材と制度を強化する活動も平行して実施する必要があります。 このような背景のもと、本プロジェクトでは、キチェ県12市において妊産婦と2歳未満児に対する母子保健・栄養サービス改善を目標に、地域保健の担い手である保健管区事務所の管理能力向上、一次・二次保健医療施設における母子保健・栄養サービスの向上、母子保健・栄養に関するコミュニティ活動の実施能力向上等を支援しました。 当財団は、このプロジェクトに「母子保健」の専門家を派遣し、一次・二次保健医療施設の母子保健サービスの向上のための活動を行いました。 |
【参考】(外部サイト)
タンザニア連邦共和国「保健政策アドバイザー」(単独型)
対象国/分野 | タンザニア/保健医療 |
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期間 | 2017年3月~2019年4月 |
相手国機関名 | 保健省 |
発注者 | 独立行政法人 国際協力機構(JICA) |
概要 |
タンザニアでは子供の健康改善では大きな成果が見られますが、母子保健改善は立ち遅れています。また医療費の自己負担率は高く、1万人当たりの医療従事者数も地域により大きく異なるなど、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(以下、UHC)の達成にはまだまだ多くの課題が残っています。こうした状況に対応するため、JICAは保健行政システムや保健人材の強化、5S-KAIZEN-TQMによる病院の問題解決能力の強化など、タンザニアの医療サービスを支える仕組みの強化に取り組んできました。医療現場での患者さんに対するサービスの質の改善には、薬や医療機材などの提供だけでなく、最前線の医療現場を支援・指導する仕組み全体の強化が必要だからです。 こうした方針のもと、2017年3月から2019年3月まで、当財団は保健政策アドバイザーとして職員を保健省に派遣し、①州レファラル病院(注1)に関する政策・制度環境の整備・改善、②保健サービスの質強化に向けた制度設計・改善に関する政策助言、③保健医療財政に関する各種政策の分析やUHC実現のための政策助言、④UHC実現のための案件形成を行いました。 (注1)州レファラル病院:低次医療施設(診療所や保健センターなど)で診療できない重症患者を受け入れる高度な医療設備と技術を備えた州レベルの病院。 |
スーダン共和国 企画調査員 (保健分野(母子保健・保健財政))
対象国/分野 | スーダン共和国/保健医療・環境管理 |
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期間 | 2016年7月~2019年7月 |
発注者 | 独立行政法人 国際協力機構(JICA) |
概要 |
企画調査員とは、JICAの在外事務所で担当分野・課題に関する案件形成やプロジェクトの実施監理、情報収集・分析、他の開発パートナーとの連携業務を担うスタッフです。当財団から企画調査員として派遣された職員は、JICAスーダン事務所で保健分野及び環境分野(廃棄物管理)を担当しました。 スーダンでは、保健分野でも特に母子保健に焦点をあて、助産師の教育や行政官の能力強化が実施されています。 当財団の職員は、日々、スーダン政府関係者や開発パートナーと密にコミュニケーションをとりながら、情報収集・分析を行い、日本が実施できる支援の方向性の検討、案件形成に尽力しました。 |
【参考】(外部サイト)
リベリア国「保健サービス監理支援能力強化」(JV)
対象国/分野 | リベリア国/保健医療 |
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期間 | 第1年次:2015年11月~2016年6月 第2年次: 2016年7月~2018年8月 |
発注者 | 独立行政法人 国際協力機構(JICA) |
相手国機関名 | モンセラード州保健局 |
概要 |
リベリア国では、1989年から14年間に及んだ内戦により保健指標は著しく悪化しましたが、2007年から国家保健政策・計画に基づく基礎医療提供の改善、国際社会の支援や保健サービス基礎パッケージの提供による乳幼児死亡率の低下等、保健指標は徐々に回復してきています。しかし妊産婦死亡率や乳児死亡率はいまだ世界最低レベルにあり、慢性的な栄養失調が蔓延しています。さらに、同国では2014年6月に最初のエボラ出血熱病患者が発生して以来流行が続き、4,800人を超える死者を出すに至りました。エボラ出血熱病の流行により、保健医療サービス、特に基盤となるプライマリヘルスケアは大きな打撃を受けました。 このような状況の下、エボラからの復興及び強靭な保健システムの構築に向け、州レベルでの保健行政システムのモデル構築を目的とし、基礎的なマネジメント能力(特に計画能力、サービスの質向上、保健情報システムの強化等)の向上や標準的なマネジメントツールの構築・導入の支援を行いました。 |
2014年度保健人材及びASEANのUHC 課題対応力強化のための情報収集・課題分析業務
対象国/分野 | ASEAN地域/保健医療 |
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期間 | 2014年9月~2015年3月 |
発注者 | 独立行政法人 国際協力機構(JICA) |
概要 |
ポスト2015保健アジェンダの一つである「すべての人々に健康な生活とUHC(Universal Health Coverage)の達成」に向けて、保健人材の量・質の強化は国際的な重要課題でした。日本は当初からUHCをポスト2015保健アジェンダに組み入れるべきと主張し、同アジェンダに関する決議及び2015年以降のUHC達成に向けた世界的議論に貢献してきました。そうした中、JICAは保健人材グローバルフォーラムを共催し、特にASEAN地域での保健人材の育成に関する協力事例やグッドプラクティスについての共有を行ってきました。 本業務では、保健人材及びASEANのUHCに関するJICAの協力方針を検討し、JICAの考え方を世界的潮流に反映させ、国際会議などの場で情報発信できるよう、以下の情報収集・課題分析・資料作成の業務を行いました。
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国際緊急援助隊 医療チーム(隊員派遣)
対象国/分野 | 全世界/保健医療 |
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概要 |
世界各地で大規模な自然災害が発生した際、特に被災地が開発途上国の場合は、社会基盤がぜい弱、かつ救助活動にあたる人材や機材が十分でなく、救えない命が多くあるのが実情です。これに対し日本は、JICAを中心として発災直後から緊急援助を行える体制を築いており、人的支援として「国際緊急援助隊」を派遣しています。そのうち、医療チームは、被害状況や被災地のニーズに合わせて、被災者の診療、疾病の感染予防や、蔓延防止のための活動を行っています。 当財団では、医療資格を持つ職員を国際緊急援助隊医療チームの隊員として被災地に派遣しています。 |
【派遣実績】
- トルコ国における地震被害に対する国際緊急援助隊医療チーム派遣(2023年、理学療法士)
- モザンビーク共和国におけるサイクロン被害に対する国際緊急援助隊医療チーム派遣(2019年、看護師)
【参考】(外部サイト)